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© 2016 STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC 提供:ファントム・フィルム/KADOKAWA/朝日新聞社 配給:ファントム・フィルム ×
ヴェネツィア国際映画祭 コンペティション部門 正式出品 光をくれた人 the light between oceans 3.31.FRI TOHOシネマズ シャンテ 他全国ロードショー
Introduction 『ブルーバレンタイン』監督 × マイケル ファスベンダー × アリシア ヴィキャンデル 最高のコラボレーションで贈る愛の物語。

孤島に暮らす灯台守の夫婦。他に誰もいらない。そう願うほど幸福だった。その<罪>に気づくまでは。

戦争の傷跡で心を閉ざし孤独だけを求め、オーストラリアの孤島で灯台守となったトム。しかし、美しく快活なイザベルが彼に再び生きる力を与えてくれた。彼らは結ばれ、孤島で幸福に暮らすが、度重なる流産はイザベルの心を傷つける。ある日、島にボートが流れ着く。乗っていたのは見知らぬ男の死体と泣き叫ぶ女の子の赤ん坊。赤ん坊を娘として育てたいと願うイザベル。それが過ちと知りつつ願いを受け入れるトム。4年後、愛らしく育った娘と幸せの絶頂にいた二人は、偶然にも娘の生みの母親ハナと出会ってしまう――

ラブストーリーの傑作『ブルーバレンタイン』デレク・シアンフランス監督が自ら望んだベストセラー小説を映画化。

監督・脚色は、結婚したカップルの幸福な記憶と愛の破綻を描いた傑作『ブルー・バレンタイン』で大絶賛され、続く『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』で父と息子の二代に渡るドラマを描いたデレク・シアンフランス。世界40か国以上でセンセーションを巻き起こしたオーストラリアの作家M・L・ステッドマンのベストセラー「海を照らす光」を自ら望んで映画化した。二つの大洋がぶつかる大海の孤島というロケーションで登場人物の感情を見事にとらえた撮影は、衝撃作『アニマル・キングダム』で一躍注目されたアダム・アーカポー。編集は、『ブルー・バレンタイン』『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』も手がけたジム・ヘルトンとロン・パテイン。音楽はアカデミー賞®受賞者のアレクサンドル・デスプラ。錚々たる顔ぶれが、シアンフランス監督が描きたい世界をバックアップした。

マイケル・ファスベンダー×アリシア・ヴィキャンデル。ハリウッドが今最も期待する最高のキャストで贈る “演技を越えた”愛の物語。

灯台守の夫婦トムとイザベルには、『それでも夜は明ける』『スティーブ・ジョブズ』でアカデミー賞®に2度ノミネートされているマイケル・ファスベンダーと『リリーのすべて』でアカデミー賞®助演女優賞に輝いたアリシア・ヴィキャンデル。これまでの作品でも“演技”を越えたリアルを求めるシアンフランス監督は、本作でもわずかなキャストとスタッフだけで人里離れたロケ地で共同生活を行い、徹底的にリアリティを追求。この映画の撮影中に恋に落ちたファスベンダーとヴィキャンデルの、まさに演技を越えた演技は必見だ。また、実の母親ハナには、『ナイロビの蜂』でオスカーを手にした名女優レイチェル・ワイズが扮し、主演三人による演技の共鳴が映画をさらに忘れがたいものにしている。

トム、イザベル、ハナ、彼らを取り巻く家族たち、それぞれの幸福と痛みが、我がことのように胸を締めつける本作は、2016年ベネチア国際映画祭でプレミア上映され、各国マスコミが「涙なしに見られない」と保証した本年度最高の愛の物語である。

Story

二つの大洋がぶつかる大海の孤島に立つ灯台。
夫婦の愛と娘への愛、偽りの母と実の母、
過去と未来、愛と憎しみ、罪と赦し、喪失と再生――
二つの間で引き裂かれながら、それでも遠くから海を照らす光がある。

1918年、トム・シェアボーン(マイケル・ファスベンダー)は戦争の英雄として帰国したが、心に深い傷を負い、人生のすべてを拒むかのようにオーストラリア西部バルタジョウズ岬から160キロも離れた絶海に浮かぶ孤島、ヤヌス島の灯台守の仕事につく。ヤヌスとは、JANUARY(一月)の語源で、二つのものを見つめ、二つの物事の間で引き裂かれるヤヌス神から取られた名前。インド洋と南極海がぶつかる大海に浮かぶ、誰一人住む者のいない孤島だ。

3カ月後、正式採用となったトムは、契約を結ぶためにバルタジョウズの町へと戻る。町でトムは、カモメに餌をやる若い女性に目をとめる。トムの心にさざなみがたった。彼女の名はイザベル (アリシア・ヴィキャンデル)。その地の有力者である小学校校長の娘で、眩しいほどの生命力に輝いていた。束の間の休日をイザベルと過ごすことになったトムは、彼女もまた戦争で二人の兄を亡くし、“兄を失った妹”とは別の生き方を求めていることを知った。

ヤヌス島に戻ったトムは、イザベルとの出会いが、人生に光を取り戻させてくれたことに気付き、彼女に感謝の手紙を送る。二人は想いを綴った手紙をやり取りするうち、心を通い合わせ、やがてトムはイザベルにプロポーズ。二人は結ばれ、孤島での結婚生活を始める。島と外の世界をつなぐのは三ヶ月に一度の定期便だけで、本土に戻れるのは三年に一度。親の愛情にも恵まれなかったトムは、惜しみなく愛を与えてくれるイザベルとの暮らしに、初めて幸福とは何かを知る。二人にとって、何者にもじゃまされない孤島での暮らしは楽園だった。

しかし、流産という試練がイザベルを襲う。一度目の流産を乗り越え、再び身ごもったのに、またも流産。失意から立ち直れないイザベル。そんな時、島に1隻のボートが流れ着く。中には既に事切れた男と女の子の赤ん坊が乗っていた。すぐに保全局へモールス信号を送ろうとするトムを、「赤ちゃんを少し休ませてあげて」と制するイザベル。一晩赤ん坊と過ごしたイザベルは、もはやその子を手放すなど考えられなくなっていた。自分たちの子供として育てようという彼女の強い懇願に負けたトムは、それが間違っていると知りながら、「赤ん坊が早く生まれた」という信号を送り、男の遺体を埋めるのだった。

それから2年、赤ん坊にルーシーと名付け、ありったけの愛情を注ぐイザベルとトム。ところが、洗礼式のため、初めてルーシーを連れてバルタジョウズに戻った日、トムは教会の墓の前でむせび泣く女性を見かける。その墓は、ボートで海に消えたまま消息がわからなくなった彼女の夫と娘の墓だという。

彼女の名前はハナ・ポッツ(レイチェル・ワイズ)。地元で一番の金持ちの娘だが、親の反対を押し切ってドイツ人の貧しい男性フランクと結婚した。ドイツは、敵国だった。ある時、戦争で家族を失った者たちにドイツ人と言う理由だけで絡まれたフランクは、生まれて間もない娘とボートに乗って海へ逃げた。その結末が、ヤヌス島に流れ着いたあのボートだった。罪悪感に苛まれたトムは島に戻る前に、「夫君は神の御許だが娘さんは大切にされている」とだけ記した匿名の手紙をハナの家に届ける。驚いたハナはその手紙を警察に持っていくが、何の手がかりもないまま時は過ぎた。

さらに2年後。トムは、ハナのことは自分だけの胸に秘め、イザベルには何も知らせていなかった。親子3人だけの楽園で過ごす幸福と、ハナの悲しみ思い返す時の苦しみ。ある日、トムは、灯台建設40周年を祝う式典に出席するため、イザベルとルーシーを連れ、バルタジョウズに渡る。式典の会場にはハナがいた。ついにイザベルも真実を知った。

「打ち明けるべきだ」「今さら手遅れよ」「彼女は母親だ」「あの子にとって母親は私よ」――自分たちのしたことの重大さにおののきながら対立するイザベルとトム。そして、トムは島へ戻る前に、思いがけない行動をとる――

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MICHAEL FASSBENDER マイケル・ファスベンダー (トム・シェアボーン)

1977年4月2日生まれ、ドイツ出身、アイルランドで育つ。ロンドンの演劇学校で学んだのち、スティーヴン・スピルバーグとトム・ハンクスが共同製作したTVドラマ「バンド・オブ・ブラザース」(01)の演技で注目を集める。07年、『300<スリーハンドレッド>』(ザック・スナイダー監督)で映画デビュー。カンヌ国際映画祭のカメラドールほか多くの映画賞を獲得したスティーブ・マックイーン初監督作『Hunger』(08)や、カンヌ国際映画祭審査員賞や英国アカデミー賞英国作品賞受賞作『フィッシュ・タンク』(12/アンドレア・アーノルド監督)などで更なる注目を集め、また、『イングロリアス・バスターズ』(09/クエンティン・タランティーノ監督)や『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』(11/マシュー・ボーン監督)などの大作で主要キャラクターを務めるまでに。『Hunger』に引き続き主演を務めたスティーブ・マックイーン監督『SHAME -シェイム-』(11)ではヴェネチア国際映画祭男優賞受賞をはじめ賞レースを賑わす。その他の主な出演作品は『ジェーン・エア』(11/キャリー・ジョージ・フクナガ監督)、『危険なメソッド』(12/デヴィッド・クローネンバーグ監督)、『プロメテウス』(12/)、『悪の法則』(13/共にリドリー・スコット監督)、『それでも夜は明ける』(14/スティーブ・マックイーン監督)など、実力派俳優として今まさに旬な俳優と言われている。

ALICIA VIKANDER アリシア・ヴィキャンデル (イザベル)

1988年10月3日生まれ、スウェーデン出身。幼少期はスウェーデン王立バレエ学校に通いバレリーナを目指す。2010年に『Pure』<未>で長編映画デビューを果たし、ベルリン国際映画祭シューティングスター賞などを受賞。『アンナ・カレーニナ』(13/ジョー・ライト監督)で注目を集め、『ロイヤル・アフェア愛と欲望の王宮』(13/ニコライ・アーセル監督)、『ガンズ&ゴールド』(14/ジュリアス・エイバリー監督)などに出演し、『リリーのすべて』(16/トム・フーパー監督)ではアカデミー賞助演女優賞を受賞。その他の主な出演作品に、『コードネームU.N.C.L.E』(15/ガイ・リッチー監督)、『エクス・マキナ』(16/アレックス・ガーランド監督)、『ジェイソン・ボーン』(16/ポール・グリーングラス監督)、『イングリット・バーグマン 愛に生きた女優』(16/スティーグ・ビョークマン監督※ナレーション担当)、今もっとも活躍が期待されている若手女優のひとりである。

RACHEL WEISZ レイチェル・ワイズ (ハナ)

1971年3月7日生まれ、イギリス・ロンドン出身。14歳からモデルの仕事を始め、大学在籍中に劇団を結成、ガーディアン賞を受賞するなど演技力を磨き、1994年『デスマシーン』(スティーヴン・ノリントン監督<未>)で映画デビュー。96年『魅せられて』(ベルナルド・ベルトルッチ監督)に出演、注目される。同年『チェーン・リアクション』(アンドリュー・デイヴィス監督)でハリウッドデビュー。『ハムナプトラ/失われた砂漠の都』(99/スティーヴン・ソマーズ監督)で世界的に人気となる。『ナイロビの蜂』(06/フェルナンド・メイレレス監督)ではアカデミー賞助演女優賞を受賞。その他の主な出演作品は、『マイ・ブルーベリー・ナイツ』(08/ウォン・カーウァイ監督)、『アレクサンドリア』(11/アレハンドロ・アメナーバル監督)、『ボーン・レガシー』(12/トニー・ギルロイ監督)、『ドリームハウス』(12/『オズ はじまりの戦い』(13/サム・ライミ監督)、『ロブスター』(16/ヨルゴス・ランティモス監督)、『グランドフィナーレ』(16/パオロ・ソレンティーノ監督)など。

BRYAN BROWN ブライアン・ブラウン (セプティマス・ポッツ)

1947年6月23日生まれ、オーストラリア出身。1973年に俳優を志してイギリスに渡り舞台などで経験を積む。帰国後、舞台や映画、テレビを中心に活躍。『F/X 引き裂かれたトリック』(86/ロバート・マンデル監督)に主演、世界的に知られるようになる。主な代表作品は、A.F.I.(オーストラリア映画協会)の最優秀助演男優賞を受賞した『英雄モラント/傷だらけの戦士』<未>(80/ブルース・ベレスフォード監督)、『カクテル』(88/ロジャー・ドナルドソン監督)、『愛は霧のかなたに』(88/マイケル・アプテッド監督)、A.F.I.の最優秀主演男優賞を受賞した『トゥー・ハンズ 銃弾のY字路』<未>(99/グレゴール・ジョーダン監督)、『オーストラリア』(08/バズ・ラーマン監督)など。

JACK THOMPSON ジャック・トンプソン (ラルフ・アディコット)

1940年8月31日生まれ、オーストラリア出身。数多くのクラシックを含むオーストラリアやアメリカの映画に出演している。オーストラリア映画協会・最優秀男優賞とカンヌ国際映画祭・最優秀助演男優賞を受賞した『英雄モラント/傷だらけの戦士』<未>(80/ブルース・ベレスフォード監督)、『戦場のメリークリスマス』(83/大島渚監督)、『真夜中のサバナ』(97/クリント・イーストウッド監督)、『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』(02/ジョージ・ルーカス監督)、『リチャード・ニクソン暗殺を企てた男』(04/ニルス・ミュラー監督)、『さらば、ベルリン』(06/スティーブン・ソダーバーグ監督)、『かけひきは、恋のはじまり』(08/ジョージ・クルーニー監督)、『オーストラリア』(08)、『華麗なるギャツビー』(12/共にバズ・ラーマン監督)など。

Cast
Staff
Derek Cianfrance 監督・脚本:デレク・シアンフランス

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1974年生まれ、アメリカ・コロラド州出身。コロラド大学で映画製作を学び、在学中に撮った3本の学生映画は、どれも大学の最高の映画製作賞を受賞し、芸術学部長の特別賞のほか、学生映画を対象としたインディペンデント映画チャンネル賞を受賞した。23歳の時、共同で脚本を書き、監督と編集を行った初の長編映画『Brother Tied』(98)<未>が1998年サンダンス映画祭でプレミア上映され、絶賛を浴びた。その後世界30か国以上の映画祭で上映され、フロリダ映画祭でその大胆で独特な表現に対して贈られる特別審査員賞を含む数多くの賞を受賞した。2作目の監督・共同脚本『ブルーバレンタイン』(10)は、ライアン・ゴズリング、ミシェル・ウィリアムズらが出演、2010年サンダンス映画祭でワールド・プレミア上映され、トロント国際映画祭(TIFF)やカンヌ国際映画祭を含む世界中の映画祭でも上映された。本作でゴズリングは、ゴールデングローブ賞、放送映画批評家協会賞を受賞し、ウィリアムズがアカデミー賞、ゴールデングローブ賞、放送映画批評家協会賞・最優秀主演女優賞候補となった。またシアンフランスはシカゴ映画批評家協会の最優秀新人映画賞を受賞した。さらに『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』(12)でもライアン・ゴズリングと再タッグを組み、2012年トロント国際映画祭でプレミア上映され、ナショナル・ボード・オブ・レビュー(米国映画批評会議)から、この年のインディペンデント映画トップ10に選出された。

M.L.Stedman 原作:「海を照らす光」M・L・ステッドマン

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西オーストラリアで生まれ育ち、現在はロンドンで暮らしている。処女作である「海を照らす光」は世界中でベストセラーとなり、これまでに40以上の言語に翻訳された。Amazonでは4800を超える5つ星を獲得している。

Adam Arkapaw 撮影:アダム・アーカポー

絶賛を浴びた犯罪映画『アニマル・キングダム』(10/デヴィッド・ミショッド監督)の撮影監督として知られている。その他の主な作品は『さよなら、アドルフ』(12/ケイト・ショートランド監督)、『マクベス』(15/ジャスティン・カーゼル監督)がある。

Alexandre Desplat 音楽:アレクサンドル・デスプラ

ハリウッドの映画音楽に憧れながらフランスで育ち、これまで8度のアカデミー賞候補になっている。主要な映画賞受賞作品に『クイーン』(06/スティーヴン・フリアーズ監督)、『ラスト、コーション』(07/アン・リー監督)、『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(08/デヴィッド・ フィンチャー監督)、『ファンタスティック Mr.FOX』(09/ウェス・アンダーソン監督)、『ココ・アヴァン・シャネル』(09/アンヌ・フォンテーヌ監督)、『英国王のスピーチ』(10/トム・フーパー監督)、『アルゴ』(12/ベン・アフレック監督)『あなたを抱きしめる日まで』(13/スティーヴン・フリアーズ監督)、『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者』(14/モルテン・ティルドゥム監督)などがあり、『グランド・ ブダペスト・ホテル』(14/ウェス・アンダーソン監督)ではアカデミー賞作曲賞を受賞した。最近の作品は、『リリーのすべて』(15/トム・フーパー監督)、『マダム・フローレンス!夢見るふたり』(16/スティーヴン・フリアーズ監督)、『ペット』(16/クリス・ルノー監督)など。

Erin Benach 衣装:エリン・ベナッチ

デレク・シアンフランス監督とは2010年の『ブルーバレンタイン』に続き、『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』(12)、本作と3本目のタックとなる。その他の主な作品は、『ドライヴ』(11/ニコラス・ウィンディング・レフン監督)、『ロスト・リバー』(14/ライアン・ゴズリング監督)、『ネオン・デーモン』(16/ニコラス・ウィンディング・レフン監督)など。

Q:物語に惹かれた理由

人間関係が“孤島”のように描かれている点に惹かれた。幼い頃、実家で暮らしていた時、僕の家族はお客さんが来るとみんな変わったんだ。“理想的な自分”に変身した。そしてお客さんが帰ると、みんなリアルな自分に戻った。僕はこれまで作品の中で家族を描き、家庭内で起こっていること、隠している秘密を追求してきた。この物語は、僕が常に思い描いてきた“孤島に暮らす家族”という隠喩的なイメージを体現化していたんだ。そういう孤独を掘り下げている点に強く惹かれた。時代を超えた壮大な設定を背景に、生々しい人間の感情を描写している点にね。

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Q:二人が提案したシーン

ヒゲを剃るシーンは彼らの提案だったんだ。トムはもともとヒゲがなかったんだけど、ある日マイケルが“トムにヒゲを生やして、彼女に剃らせたらどうだ”と言ってきたんだ。最高のアイデアだと思ったよ。男女の関係ってそういうものだからね。相手のために自分を変えるのさ。トムが“壁”を取り除く瞬間を見せることもできた。でもまずは、その撮影を実現させなければいけなかった。映画を撮る時、そういうのは難しいんだ。舞台裏で人々は、なぜかリアルに描かせないようにする。僕は常にリアルに描こうとしているのに。リアルな瞬間を求めているんだ。だからアリシアがマイケルのヒゲを剃れるように、何か月もかけてスタジオを説得した。“刃物だから彼を傷つけるかもしれない、危険だ”と言われたけど、“傷つけるわけがない”と反論した。彼らは、事前にスタッフにヒゲを剃らせて、撮影時はシェイビングクリームをつけて剃るふりをすればいいと言ってきたが、僕は“彼女に任せればいい”と。アリシアに“自分で剃ることに抵抗はない?”と尋ねたら、不安げに“大丈夫だと思う、マイケルに聞いて”と答えたんだ。だからマイケルに確認したら、彼は“問題ない”と言ってくれた。そうやってあのシーンは実現したんだ、演技から自然なやりとりへと移行するのが、あそこの醍醐味なんだ。僕は自分の作品には常にそれを求めている。

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Q:マイケルとアリシアの相性

個々に会っている時からふたりは相性がいいと思っていた。一緒にいる姿が想像できたんだ。濃密なシーンを撮影する時はいつも戸惑うけど、何を目指しているのかは明確に伝えるようにしている。イザベルはこれまで男性と付き合ったことがないし、トムも戦場にいたから、過去4年間は誰とも親密な関係を持ったことがないはずだ。彼は恐怖に駆られていて、内面は死んでいるんだ。そんな彼が生き返るのさ。だからベッドシーンではできるだけ素直に演じてもらうようにした。そしてふたりは美しく、優しく、親密な演技を見せてくれた。映画のベッドシーンは通常あまり好きじゃないんだけど、この作品のふたりの間には純粋で穏やかな絆が感じられた。脆く壊れそうな2つの魂が、互いを慰め合っている。それが美しく思えた。

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Q:キャスティングについて

脚本を書きながら、マイケルはトム役にぴったりだと感じていた。マイケルは映画俳優の中でも特に頭がいいし、自らの世界をしっかりと頭の中でコントロールしている。でもこれまで彼の“心”を感じたことがなかったから、善悪と愛の間で揺れ動いているこの役に挑戦してほしかった。マイケルに実際に会い、彼には可能だと確信を持った。次に、彼とバランスの取れる相手を探さなければいけなかった。イザベルはトムとは正反対で衝動的だし、感情で動く。だから感情に身を委ねられる勇気ある役者を求めていたんだ。キャスティング・ディレクターに、『風と共に去りぬ』のヴィヴィアン・リーや、『こわれゆく女』のジーナ・ローランズや『奇跡の海』のエミリー・ワトソンを探していると伝えたら、“アリシア・ヴィキャンデルに会うべきだ”と言われた。これは『リリーのすべて』や『エクス・マキナ』が出る前の話だ。彼女に会って4時間ほどのセッションを行ったんだけど、彼女はすべてを出し切ってくれた。自分をさらけ出して、失敗もしてくれた。監督にとって、役者からの最大の贈りものは“失敗”だと思うんだ。役者には悪い演技を見せてほしい、恥をかいてほしい。それができる人は、自らを評価してないからだ。抑えることなく、すべてを見せている。彼女はそれができたのさ。そういうわけで、マイケルという時代を代表する名優の一人と、アリシアというノンストップで走り続け、疲れを知らないサラブレッドが揃った。2人が互いに刺激し合っているのを、監督として見られたのは光栄だった。昨日の上映を見ながら、2人をものすごく誇らしく思った。感情的にも精神的にも極限まで突き詰めてくれたからね。彼らはこの映画に魂を捧げてくれたのさ。

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― 物語に惹かれた理由 ― Director's
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― 二人が提案したシーン ―
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― マイケルとアリシアの相性 ―
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― キャスティングについて ― Interview
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